「ケ」は普段通りの生活を送る日ですが、日常生活の「ケ」がなく、毎日がお祭りの「ハレ」だったら、それはつまらないものになってしまうかもしれません。また、陰鬱な気持ちや何かよくない力、病気や死など、「ケ」の生活が順調にいかなくなることを、「気枯れ」=「ケガレ」といって忌み嫌い、禊ぎ、清め、祓いなどをしました。「ケガレ」を落とし、単調になりがちな生活に「ケジメ」をつけて、「ハレ」の日を迎える。そうした物事の繰り返しで暮らしが成り立っているのです。
日々に「ハレ」と「ケ」があるように、一人の人の日々の中にも光の部分と影の部分があります。悪いことが起こると「明日はきっとよくなる」と自分を励ましたり、よいことが起こると「いいことばかりではない」と喜びすぎるのを戒めたりすることがあります。まさに「禍福はあざなえる縄のごとし」です。この感覚は、日本人の暮らしのメリハリや心の影響と深いかかわりをもっています。